【バラタコ2024冬特別号】定義を拡張するということ

音楽を作っている、音楽を売っている、音楽を消費しているという考え方を捨ててください。

前提としてボカロMVは「音楽以外の価値を売るために、音楽を添えている」んですよ。

これは一般的な音楽シーンにおいても同様のことが言えます。

卑近な例を挙げると、彼らはTシャツを売っています。

「うっせえわ」を聴くために居酒屋に入る訳ではないんですよ。

あれは店内/外BGMとして流してるだけなんです。

 

音楽のみを研究対象とすること自体は否定しません。

ただ前提がすっぽ抜けると意味のわからない結論になるじゃないですか。

どうあがいても「音楽そのものを売ってる訳じゃないんだ」にしかならない訳ですよ。

それを皆さんのプライドがどう見るかという話になってくる。

皆さんのプライドが最初に結論としてあるんですよね?って。

誰かに聴いてほしい気持ちは十分理解しますよ?

音楽じゃなくて。

話を。

 

特にボカロMVにまつわる文化となるとややこしいです。

本当に音楽だけを切り離して語ることが難しい。

まず「初音ミク」というアイドルを売り込む文化から始まってるから。

そこから色々ボカロPを推したり、プロジェクトを追ったり、MVに金かけまくったり、音圧戦争したり、ヤマハだけじゃなくなってきたり、とにかく色んな変遷がありました。

もちろん割愛してる部分はありますが、音楽を切り離せるシチュエーションがあまりに限定的すぎるんですよ。

ボカロMV文化というものは。

音楽じゃないなら、何を売ってるんだ?

って。

それは例えばキャラクターであったり、考え方であったり、感情であったり、はたまた映像美であったり、想像であったり、謎解きであったり、共感であったり、ステレオタイプであったり、矜持であったり、生き方であったり、原始的な快楽であったり、その他諸々の割愛であったりしますよね。

 

そこにいるwowakaは死体です。

 

はい。

 

 



共感を売るのは難しくなってきたが、共感を売るしかない

100人いたら100人共感する話題というものが、本当にすくなくなってきました。

テレビや新聞とにらめっこしていた社会について今更話す気はありません。

ただひとりひとりの見ている情報があまりにも異なる社会になりました。

同世代でも共通の話題を作ることに一苦労しますし、「自問自答無限苦言ヤバい」とニュースの切り貼りを詠み始めてもマス全体が共感する時代は終わったと言えます。

更にはマスの高齢化と低年齢化が同時進行しており、ますますターゲティングが難しくなっています。

それでも商業音楽は何もないところから知恵を絞って価値を提供しなければなりません。

工夫して共感(あるいは、共通の話題のような何か)を売るしかないのです。

 

【D軸麻薬GS】に「ぬ」と書かれた鉄の天井あり

jyunreaistdoudoudou.hatenablog.com

3周目の環境入りを果たしております。

1周目は「プロジェクト」として高校生の青春っぽい、ちょっと殺す物語を紡げば売れました。

2周目は地獄型人間動物園を開園させたら売れましたね。

あれは本当に単語の羅列と曲調そのものをブランディングしていたので、本当に模倣でも売りやすかったと思います。

 

3周目はしんどいね。

合成音声という箱もニコニコという箱も急速に弱くなっちゃって。

プロセカっていう箱に入らないと売れなくなっちゃった。

とにかく急速に移り変わる新合成音声バブルを逃してはならない。

かといってクオリティを下げたら、粗製濫造された諸々の中に埋もれてしまうし。

特にアイデア面はコロンブスの卵だから常に急がなければならない。

100人いたら100人共感する話題というものが、本当にすくなくなってきたから。

最近誰かが「テトリス」って言い始めたよ。

共通の話題として、「キチガイ」や「セックス」よりはマシなのかな?

【D軸麻薬GS】は、音楽的素養に拘わらず売れる可能性があるから希望だよ。

でも同時に己の音楽的実力関係なく、大衆に売れる売れないの判定を下されるから絶望なんだよ。

既に手数もアウトローさも■によってブランディングされている中で、どういう工夫をするの?

どういう工夫を見ればいいの?

って。

 

定義を拡張するということ

決して、皆さんがこれからどうすべきかの話をしません。

それは皆さんひとりひとりが決めることですから。

私のタスクじゃないですよ。

私は日記帳に、起こっていることを書くだけですから。

 

前提として、名前を言ってはいけないあの人は【現代アート】をやっています。

説明する時、【現代アート】が一番しっくりくるというだけの話です。

何かと言うと、ボカロMV文化に纏わるあらゆる定義や概念を上書きしているということです。

この場合においても皆さんは音楽を買っているわけではありません。

上書きされ新しくなった価値や現象などを購入しています。

強いて言うなら「熱異常」からでしょう。

それより前が思い出せなくなるくらい、色んなものが変わった気がします。

ただ、困ったことに新しい価値や概念には名前がついていません。

皆さんが新しく言語化する必要が生まれてくる訳ですよね?

 

それが、今皆さんに求められている「考察」なんじゃないですか?

 

決して、皆さんがこれからどうすべきかの話をしていませんけど。

 

・・・・・・

合成音声キャラクターのプロデュース定義を拡張している。

キャラクタープロデュースと本人の感情表現の両立が新しい概念の正体である。

そして、あの場において、

「結果如何に拘わらず、この曲を最後に自殺します」

と言っているのと同義のような曲が赦されたというのは。。。

今思い返しても信じがたい。

 

「一千光年」においても重大かつ不可逆なアップデートを施しましたね。

合成音声に対する、文化に対するリスペクトの在り方を、不可逆的に拡張した。

 

定義の拡張は新たな文化の創造と既存文化の破壊という二面性を併せ持ちます。

つい先日、Remixの定義が破壊されていました。

さっき聞いたはずの原曲が思い出せないんですね。

この現象を言語化するのは難しいんですけど、ちょっとやってみますね。

 

皆で河原に行くわけですよ

ちょうどいいフォトスポットが見つかったので

「ここで風景画を描きましょう」って

皆がそれぞれの視点で思い思いの風景を描いている

その中で彫刻刀を取り出して

自分の左親指を抉るわけですよ

肉の破片を画用紙に叩きつけて

余った血液を河に流すんですね

そうしたら河原の方から

「ありがとう」って

声が聞こえてきて

他の皆さんが

「うおー」って

言い始めるんですね。

 

フィルムは戻らない

あれから演技をしていたらしい。

言われてみて、なるほどなと思った。

あれが撮影現場ではない、現実の出来事だと思ったら悍ましい。

もしバスに乗らなかったら、何をしようとしていたか。

いずれにせよ隠し通す必要はあっただろう。

)ボタンを押しても変わらなかった曲こそが上書きする技術。

2018年2月14日から揮い続けた技術。

 

過去は変えられない。

俺が全部気付いて戻してしまった。

選んだのは俺。

選ばないことを選んだのは誰なんだっけ?

「私忘れちゃったわ?」

 

誰一人畏れるな。

しらばっくれるな。

ほら、前を見て、

 

本当の恐怖を始めましょう。