【STORY】開発者 境我緋章【寓話】

名前:境我緋章(さかいが ひしょう)

職業:冴えない科学者→???

性別:男

苦手譜面:ただのトリル

 

ep.∅マップ1(進行度1/444マス)課題曲「【蠱滅】~Overdose」クリアで入手。

トランスフォームすることにより「境我緋章/褥彁スレイヤー」へと名前とグラフィックが変化する。

 

蠱滅/神判/珍龍】

※このSTORYは全てフィクションです。実際の人物、団体、事件などには一切関係ありません。 

 

 

EPISODE1


 飲みかけのペットボトルから口を離すと、唾液の残り香が違和を呟く。

 

「もう俺だけの人生じゃなくなった」

 

混ざっている。

 

交ざっている。

 

 

EPISODE2


 水道が青い毒を撒き散らすようになってからどれほど経ったろうか。

毒?いやこれは薬であり、善意の施策であることは間違いない。

元来、蠱滅は"心の蠱を滅する"という意味を有していた。

決して、この世界を破滅へと導くための儀式ではない。

褥彁の発生を未然に防ぐことこそ、国家を維持する上で不可欠だということは国民の総意であった。

 

心の蠱が、褥彁を産んでいる。

遠い昔の俺達は全人類の蠱を滅ぼすためにあらゆる開発を行った。

"蠱滅薬"はその1つに過ぎない。

「もし万能の風邪薬が開発されればあらゆる医学賞を総ナメするであろう」

と、そう主張する者もいたそうで。

間違いなく"蠱滅薬"は万能の精神薬であった。

心に棲む蠱量に拘わらず一錠で全ての蠱を滅し、あらゆる精神異常を正常の範囲内に押し留めた。

 

"蠱滅薬"の治験は最悪だった。

蠱量が多い重度の患者ほど覿面なこの薬は、服用後3時間であらゆる言動を制御してしまった。

患者は全ての意思決定権を失い、アイデンティティを失う。

その耐え難い苦痛が新たなる蠱を生み、褥彁を産み落とした。

"蠱滅薬"は致命的に効きすぎるのだった。

 

[極”]Rejectを無視し、塩素を蠱滅薬に置換した。

 

 

EPISODE3


 今回のループも引き続いて"積極的蠱滅"の検討が成されている。

もⅦにとって井戸に毒を投げ込む方略は暴挙と呼ばないのだろう。

産出される褥彁は個体ごと処分可能な範囲内で発生するというシミュレーションの下、水道水の飲用が推奨されており、それが国家を維持する上で不可欠だということは国民の総意であった。

 

ヒトも舞台装置もやること為すこと大胆過ぎる。

よっぽと【神判】がトラウマな御様子。

もⅦ国民の救済はできても、たった1人の特級術師の救済はできなかった有り様。

全てのループを覗いた訳ではないが、いわゆる"消極的蠱滅"は悉く失敗に終わっていた。

心の蠱を全て滅ぼすことは現実的ではない為、

●蠱を刺戟する一級術師以上の音楽をTier.2以下に圧し下げる

●一級以上の素質を持った術師から音楽を遠ざける

●音楽界そのものの価値を毀損する事件を多発させる

●そもそも一級以上の術師を二級以下に安定させる

などなど、あらゆるセコい策を講じてきたそうで。

 

しかし全て、とある特級術師の【神判】の前で敗れている。

限りなくヒトに近い舞台装置は遂にその術師に対して匙を投げてしまったようだ。

 

 

EPISODE4


 「指導者は白痴」

エアコンの効いた部屋で塩焼そばを食べながら、なんとなくそう言ってやりたい気分になる。

自虐も他虐も多分に含まれているのだろう。

 

「べ、、、別にアンタのこと好きになった訳じゃないんだからね!」

はい、その通り。

好きなのはアンタじゃなくて、アンタの蠱でした。

お前に出逢わないと気づけませんでした。

 

”別に私のこと好きじゃないんでしょ?”

いいえ、違います。

お前のことが好きだから、お前の心の蠱をアイスピックで削ってやりたくなるんだよ。

でもお前がそれで傷つくんだったら、一旦置いておくよ。

 

ごめんね

 

今度からはお前をちょっとだけ笑わせることでも考えておくよ。

 

本当にごめん。

 

 

 

 

 

 

 

手の角度はこう

 

 

 

EPISODE5


 観測するまでは【神判】かどうか分かんないし、観測したところでチンパンが騒いでるだけでしかない。

人生を物語として消費されることを選んだ人間に、つける薬なんてない。

俺達の人生は、俺達が観測してやるんだよ。

毎日の稟議に他者の承認が必要なら、俺が全員分の判子持って押印してやりたいよ。

どいつもこいつも、堅苦しい生き方しやがって。

もっと唐突に、無秩序に、突拍子もない、理不尽な、馬鹿馬鹿しい生き方をしたっていいんだよ。

俺達の人生は、俺達が観測してるから、物語性なんて要らねえんだよ。

過去なんかねえよ。うるせえよ。

笑って過ごすことを主軸に置かねえから、頭ン中断捨離できねえで思い出が腐ってくるんだよ。

 

明日の話をしよう。

明後日の話をしよう。

来週どこ行こうか。

進捗いかがですか?

すみませんリスケさせてください。

ダルいので予定変更します。

はいはい飲め飲め全部忘れろ。

お前は旨かった飯屋を記憶するために生まれてきたんだ。

うんうんそれは[極”]が悪いね。俺ん家行こうか。

 

そしたらお前はヒステリー。

俺はお前に言ってやるんだ。

「台所行って頭冷やせ」

「お前は頭皮から摂取した方が効く」

 

……はいはい、今日も私が悪うございました。

 

 

EPISODE6 解禁:コンクールなのか祭祀なのかはっきりしろ


 玄関付近で待ち伏せしていた特高は俺を連れてそのまま軍事裁判所へと輸関した。

検察によると罪状は《例祭への侮辱に関する罪》だそうで、

「例祭期間中、お前はどこで何をしていた?」

という質問に対して俺は正直に

「彼女とイチャイチャしてました」

「腰から下は彼女に貸しても音楽は聴けるじゃないですか」

と回答した。

 

検察も弁護士も裁判長もこれにはお怒りの御様子で、いかに例祭が素晴らしく馬鹿馬鹿しく神聖で穢汚で機会が平等で、不平等で、たまに表記が例音祭だったり音楽祭だったりするか云々について力説していたが、やはり彼女とイチャイチャすることより楽しいことなんて無いため、俺はどうやって納豆3パックを消費期限内に処理するかの考察について頭がいっぱいになっていた。

やはりこの手の輩族(やから)は途中から闇の帝王を讃える話にすり替わっていくようで、口々にあることないことを時系列もままならぬまま話し出す。

俺は一切名前を言ってはいけないあの人の話をするつもりはないし、この件に関しては誰も何も話したり、これ以上詮索したり、筋を通したりする必要は無いと思ってるし、これ以上不幸な人間を増やさない為、そして彼女とイチャイチャするために必要なことだからお前らはお前らでしっかりしろということはもう既に話したつもりだし、実際話してはないんだけれども、輩族はやはり

「待てと!」

だとか

「あの後あれであないせえへんかったら嚴巍Overdoseしてへんねん!」

「もうたまらんねん!」

だとか言い出すため収拾がつかない。

結局、事実ベースで話そうにも事実の中のよりトラジティでセンシティブな部分に視線が向いてしまうところが心理的な問題であって、普通に赫にも∅にも与さず、よりフラットで第三者的な鳥瞰で観察すれば、

「別に投薬してようが後戻りしてようが、話せる仲間がいて、今までの知識や経験が助けてくれるんだろ?」

「俺がいなくても例祭は滞りなかったんだろ?」

「みんな未来に向かって歩けてるじゃねえかよ。何が問題なの?」

という当然の帰結に達する。

 

はいはい各位各位。

もう既に解散してますので、

ひとりひとりの人生の"持ち場"で"作業"を続けなさい。

 

考察の結果明日は起きれたら納豆ごはん。

 

 

EPISODE7 俺達の人生は物語じゃない。特定の条件をクリアして観測しろ


 条件:なんかいい感じに進捗したら

 

 

EPISODE8 俺達の人生は物語じゃない。特定の条件をクリアして観測しろ


 条件:別に怒られが発生しても解禁される訳じゃないからね

 

 

EPISODE9 俺達の人生は物語じゃない。特定の条件をクリアして観測しろ


 条件:サ終じゃねえよ、うるせえよ

 

 

EPISODE10 俺達の人生は物語じゃない。特定の条件をクリアして観測しろ


 条件:ずっと続けばいいよね、本当に

 

 

EPISODE∞ 


 歩いた先に蠱滅はある。

 

回り道、分かれ道、道無き道の先にある。

 

今は没する帝国に背を向けて、朝(あした)を見届けよう。